Soul



Donny Hathaway「Live」(1972)

70年代ニュー・ソウル最高の偉人の一人、ダニー・ハサウェイのライヴ盤。当時のブラック・ミュージックの息吹を伝える作品として、本作程優れた物もまず見当たらないだろう。圧倒的な演者と聴衆のヴァイヴがここにはある。

マーヴィン・ゲイのカバー"What's Going On"に拠る非の付け所のないオープニング、"The Ghetto"の間のブレイクからパーカッションとダニーのボーカルが入る瞬間の興奮、魂の合唱"You've Got A Friend"。

ソウル史上最高の名盤の一つであり、聴く度に衝撃と興奮のある作品。若くして天逝した天才の、かけがえのない記録。


Curtis Mayfield「Curtis」(1970)

ブラック・ソウルの第一人者、カーティス・メイフィールドのデビュー作。当時はまだ新しかったソウル・ミュージックのイノヴェーターとして活躍した、元インプレッションズの彼のソロ最初期記録がこの一枚。

"Move On Up"はやや長尺ながら、その長さを感じさせないソウルのキラー・チューン、感動的な空気が聴き手を包み込む"Miss Black America"等、楽曲の秀逸さと初期ならではの新鮮味がある。

黒人運動にも活動的だったというカーティス、その偉大なキャリアはここから始まり、ソウルシーンの中で成熟していった。これが正に音楽。


Sly & The Family Stone「Stand!」(1969)

ブラック・ミュージックに於ける最重要グループと言える、スライ&ザ・ファミリーストーンの4th。ヒッピー世代をロック・ミュージシャン等と共に生き、ウッドストックにも出演した黒人音楽の代表格とも言える彼等の、キャリア最盛期がこの作品の頃。

タイトルトラックは癒しのあるメロウな一曲で、激しいダンスビートに踊らされる"I Want To Take You Higher"、数多くのカバーを産んだ名曲"Everyday People"等の代表曲が凝縮されている。

何故彼等が最高の黒人グループと呼ばれるのか、これを聴けば一発で解るだろう。正にブラック・パワー、ジャンルさえ超える名盤。


James Brown「Live At The Apollo」(1962)

世界のビッグネームであり、日本でもよく知られるジェームス・ブラウン、その数あるライヴ盤の中でも最高傑作とされるのが本作。60年代初期という脂の乗り切ったJBの最高のパフォーマンスが、ここでは聴く事が出来る。

アルバムは全体が聴き所だが、激しいファンクビートが強烈な"I Feel Alright"、名バラードの名唱"Try Me"、オーラスのデビュー曲"Please,Please,Please"等が特筆物。

ソウル、ファンク界に於いて絶大なステータスを誇ったJBだが、何よりショウマンとしてのサービス精神と徹底振りが凄い。2006年に死去、R.I.P。


Sam Cooke「Live At The Harlem Square Club 1963」(1985)

黒人ソウルボーカリストの代表格、サム・クックの1963年に於けるライヴを収録したライヴ盤。元々他の黒人ボーカルに比べ、洗練されスイートで白人層にも支持されるサムだったが、本作はそんなイメージを裏切る汗にまみれステージに立つ姿が浮かぶ様な実況盤。

ピースフルな空気の中、サムのボーカルが存分に堪能出来るが、特に"Twisting The Night Away"の陽気なダンスチューン振り、"Bring In On Home To Me"のしっとりした歌等が白眉。

黒人の人権運動にも尽力した彼だが、優男に見えてその実、質実剛健という雰囲気がピッタリ当てはまる様な人柄を感じるが、どうだろうか?


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