Japanese


八十八ヶ所巡礼「八+八」(2010)

00年代以降のジャパニーズ・アンダーグラウンド最高の異才、八十八ヶ所巡礼初のフルアルバム。とにかく、独自の世界観を極めたバンドの才能の粋を集めた名作であり、外道やNUMBER GIRLに影響を受けたかの音楽性は唯一無二。

"具現化中"のストレートなビートながら暗雲なパワー、"日本"のジャパニーズ・ロックを代表する程の独特の歌詞と名曲振り、バンドの名詞代わりの"仏滅トリシュナー"の流れは正に彼等の音楽の極点。

しかし、彼等の魅力はライヴでこそ最大限に発揮される。正にロックに魅入られたかのバンドのキャリア中最高の作品。


トリプルファイヤー「エキサイティングフラッシュ」(2012)

突然変異の様にシーンに現れた、トリプルファイヤーの初全国流通作。正にポスト・パンク直系と言える音楽性がバンドの最大の魅力だが、完全に中毒になる曲の不思議なキャッチーさとアメリカNO WAVEを思わせる空気感は、他のバンドでは出せない独自の世界観を持っている。

タイトルトラックの不穏な空気、"次やった殴る"の逆ギレ調のテンション、"パチンコがやめられない"、"おばあちゃん"といった個性的という一言では括れない程の語感。

解る人には解る、そんな言われ方をする彼等だが、今の世代の軽さを最も反映した絶妙のバンドと言える。



サンボマスター「サンボマスターは君に語りかける」(2005)

「新しき日本語ロック」という言葉を掲げデビューした、サンボマスターの2nd。日本最強のスリーピースとも呼ばれる彼等は、ライヴに於ける独特の語りと圧倒的なパフォーマンス、楽曲の魅力により日本のロック・シーンに名を刻むバンドにまで成長、キャリアを重ねている。

本作はバンドの勢いのある傑作。"歌声よおこれ"は最高のオープニングソング、ライヴで完全に化ける"青春狂騒曲"、"月に咲く花のようになるの"はサンボ史上最高のラブバラード。

本作でサンボに目覚めた筆者だが、ライヴで更に衝撃を受けるバンド。正に「日本語ロック」の呼び名が相応しい。


NUMBER GIRL「SAPPUKEI」(2000)

日本ロック史上最高のバンド、NUMBER GIRLの3rd。90年代以降に日本に現れたバンドとして、最高峰に位置する彼等だが、ギターボーカル向井秀徳の強烈な歌やシャウトと飄々とした個性、日本のドラマートップクラスの実力のアヒトイナザワの強烈なリズム等、ロックバンドとして最高の魅力を備えていた。

アメリカでデイヴ・フリッドマンのプロデュースに拠りレコーディングされた本作は、バンド最高の熱気と爆音の記録された名作。曲も過渡期的ながら優れた名曲が並ぶ。

現在は解散、メンバーはソロやバンド活動等をしているが、このバンド程の魅力は出せていないのが事実。それ程、記憶に残る人達だった。


くるり「TEAM ROCK」(2001)

京都出身の今や日本を代表するロックバンドの一つ、くるりのメジャー3rd。ボーカル岸田のソングライティングを中心とするバンドだが、そのワンマン体制のせいか、ベースの佐藤以外激しいメンバーチェンジを繰り返してもいる。

そんな彼等の代表作とされる本作。バンド史上最高のポジティヴさとキャッチーさを備えた"ワンダーフォーゲル"、くるりの最高の名曲と確信出来る"ばらの花"の二曲だけで完璧。

くるりが最も充実していたとも言える作品だが、今も尚精力的に活動を続けている。


THEE MICHELE GUN ELEPHANT「ギヤ・ブルーズ」(1998)

日本ロックシーンに於いて、最重要と言えるバンド、ミッシェル・ガン・エレファントの4th。ボーカル、チバユウスケの強烈なボーカルが耳に残るが、バンド解散後急逝したアベフトシの日本最高とされるカッティングギター等も魅力。

本作はそんな彼等の、最も勢いのある時期のアルバムと言える。"スモーキン・ビリー"は正にミッシェル節と呼べる、彼等の代表曲、"G.W.D"は個人的に最も好きなナンバー、"ダニー・ゴー"はポジティヴで疾走感溢れる名曲。

2003年に惜しまれつつ解散、メンバーは新バンドやサポート等で今も活躍中だが、このバンドがファンの記憶から消える事は永遠にない。


SOUL FLOWER UNION「エレクトロ・アジール・バップ」(1996)

ジャパニーズ・ミクスチャー・バンドとして活動する、ソウル・フラワー・ユニオンの3rd。ボーカル、中川敬を中心として、海外難民、被災地等を慰問する草の根活動も続ける、真の意味でリアルな現場主義を貫く貴重なバンド。

本作はそんなソウル・フラワーが、最高のクリエイティヴィティを発揮して作られた名盤。"エエジャナイカ"の祭囃子の様で実はラディカルな思想を貫く一曲、ライヴでは最重要レパートリーの"海行かば 山行かば 踊るかばね"、日本音楽史に残るべき名曲"満月の夕"。

邦楽ロックの中でも、アングラな存在でありながら活動姿勢を崩さない、徹底した思想は日本に生きる人間として見本とすべき部分が多い。





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