70's Best

David Bowie「Ziggy Stardust」(1972)

20世紀を代表するロックシンガーの一人、デヴィッド・ボウイの数ある傑作の内、代表作と言えるのが本作。当時グラム・ロック全盛の時代に活躍し、正に時代の中心でこの壮大なコンセプトアルバムを作り上げた。

後五年で滅亡するという地球に降り立った異星のロックスターという設定だけで完璧。そのテーマとも言える"5 Years"、重厚な曲調が圧巻の"It Ain't Easy"、グラム・アンセムとも言える"Suffragette City"。

一曲一曲のクオリティは勿論、ボウイのキャリアに燦然と輝く名盤。その功績や影響力は今尚計り知れない。



Sex Pistols「勝手にしやがれ!!」(1977)

「No Future!」、そう叫びイギリスのみならず世界を転覆させたセックス・ピストルズの、唯一のファースト・オリジナルアルバム。王室批判、大企業弾劾といった反体制で過激な詞も特徴だが、ボーカル、ジョン・ライドン初めパーソナルな魅力も。

紛れも無い代表曲と言える最高のパンク・アンセム"Anarchy In The UK"、女王をコケにした個人的に大名曲の"God Save The Queen"の二曲だけで完璧だが、その他も名曲揃い。

パンク・ロックを語る上で欠かせないバンドだが、それ以上に数多くのすさんだ若者をの心を救った弱者や敗者に向けられた音楽だと言える。



The Clash「London Calling」(1979)

ピストルズのライバルとしてロンドン・パンクシーンに名を残す、クラッシュの3rd。1stこそ勢いに任せた様なパンクロックだが、本作ではレゲエ、ダブ、ジャズ等の雑多な音楽性を背景にした幅広いルーツがこの一枚を形作っていると言える。

オープニングのタイトル曲は正にUKパンクを代表すると言って良い名曲、腰の据わったビート感がカッコいい"Brand New Cadillac"、陽の光の様に明るいポジティヴな"Death Or Glory"。

ボーカル、ジョー・ストラマーは急逝し、多くのパンクファンに惜しまれた。しかし、その音楽と人としての素晴らしさは、永遠に語り継がれる。


The Ramones「ラモーンズの激情」(1976)

ピストルズ、クラッシュ、そしてこのNY出身のラモーンズがパンク御三家と俗に呼ばれる。パンクの魅力であるストレートなビート、シンプルなスリーコード、親しみ易いメロディの原則に最も忠実だったのが、このラモーンズだったと言える。

一曲目の"電撃バップ"は彼等の代表曲で永遠のパンクソングであり、その後も最高のパンクロックが絶え間なく凝縮されたマストな一枚が本作。ラモーンズの魅力が最も詰まったデビュー盤と言って良い。

パンクとは何か、その答えがこの作品にはあると感じる。メンバーの殆どが亡くなったが、ラモーンズの名は記憶から決して消える事がない。


Queen「世界に捧ぐ」(1977)

70年代ロックに最も名を残す英国バンド、クイーンの6th。その美しいメロディと華麗な音楽スタイルで驚異的な売り上げを記録した、正にイギリスを代表するグループとして彼等は君臨した。そんな彼等の代表曲が詰まったのがこの作品。

"We Will Rock You"はロックと言えば誰もが思い浮かべる定番曲、クイーンの得意とする名バラード"伝説のチャンピオン"等、そのソングライティングの力はロック界随一。

ボーカル、フレディ・マーキュリーはゲイでありエイズで死去。しかし、彼は万人に愛されるスターだった。それは、人々がロックに夢を見た幸福な時だったと言える。



Aerosmith「Rocks」(1976)

未だにトップを走るハード・ロックバンド、エアロスミスの絶頂期70年代の傑作。日本でもすっかりお馴染みの存在だが、そのバンドの才気漲る若かりし頃のキャリアに刻まれるのがこの時期。今のエアロをエアロたらしめてる原点と言って良い。

アルバム荒々しい録音とテンションがその勢いを物語っているが、特に"Back In The Saddle"の重戦車の様なビートとリフは圧巻で、"Home Tonight"による壮大なエンディングはロックアルバム最高の瞬間。

メンバーは皆愛すべきキャラクターと確かな技量を持ったアーティストで、そういう意味でも最もロックバンドらしいバンドと呼べるのかも知れない。



T.Rex「電気の武者」(1971)

マーク・ボラン率いるグラム・ロックの代表的バンド、Tレックスの代表作。グラム・ロックと言うと中性的なルックスがトレードマークだが、それは音楽性でも言える事だった。ボーカルの独特の色気のある節回し、そこから産まれるうねる様なグルーヴ感等。

そうして作られた楽曲も、ロックとしてはかなりポップであり、それは当時の大衆の心を掴んでいた。特に代表曲"Get It On"は、典型的なセックスナンバーだが、その単純さがまた魅力でもあった。

しかし単純な歌と言いつつ、そのスタイルは女性の美しさを尊重した物で、このフェミニンな要素は後のロックに取って重要な要素となる。


Television「Marquee Moon」(1977)

希代のポスト・パンク・グループ、テレヴィジョンの1st。とにかく70年代のみならずロック史に於いて重要なバンドだが、それは貫禄と言うかバンド独特のナイーヴなテンションに拠り産み出されるいびつな音楽性に象徴される部分が大きいのではと思わせられる。

中でも本作は、テレヴィジョンの魅力の本質が詰まった楽曲群と空気感に満ちている。"See No Evil"の異質だがロックなリフ、"Torn Curtain"の引き裂かれる様な感覚、そして何より表題曲の空恐ろしいまでの緊張感と高揚。

結局このバンドは「マーキー・ムーン」というアルバムと曲の存在に尽きるのだが、それは短いながらロックの本質を描き切った余りに虚無で過剰な瞬間だった。



Joy Division「Unknown Pleasures」(1979)

ロック史上最大の闇とドラマを抱えた、ジョイ・ディヴィジョンの70年代作。とにかく語るべき事の多いバンドだが、何よりポスト・パンクの枠組みにありつつ、その独特の暗黒的世界観でロック最大の闇を伝えたというのが、何より推して評価すべき要素ではと思う。

そんな本作は、バンドのクリエティヴな時期を捉えた、最良の瞬間と言って良い。"New Dawn Fades"の圧倒的なリフとスケール感、"She's Lost Control"はガレージ色のある強烈なナンバー、後にキラーズもカバーした"Shadowplay"。

ボーカル、イアン・カーティスの自殺により幕を閉じた彼等だが、残されたメンバーでニュー・オーダーを結成したのは有名。未だにこのバンドの曲をプレイし、その存在を称えている。



Black Sabatth「Paranoid」(1970)

暗黒のヘヴィ・ロック、異端のハード・ロックとしてその名を轟かせる、ブラック・サバスの代表作。後のグランジの源流としても扱われる事の多いバンドだが、その重量級のサウンドは確かに通じる物がある。それがバンドイメージと相俟って、独自の個性となっている。

中でも有名なこのアルバムは、"War Pigs"に拠る重厚な始まりから、代表曲のアルバムタイトル曲へと繋がる、彼等のキャリアの中でも最高峰に位置する鉄壁の流れを備えている。

ボーカル、オジー・オズボーンはソロとしても活躍、テレビ・スターにもなったが、このサバスでのキャリアがあってこそだろう。そんな貴重なロックの偉大な記録。


Iggy Pop & The Stooges「Fun House」(1970)

ロックンロールの歴史の暗黒史に於いて頂点に君臨する、生ける伝説イギー・ポップの最初期グループ、ストゥージズの二作目。イギー程ロックに魅入られた人は他に存在せず、還暦を超えて尚エナジーを発する、その原点にして頂点が今作。それは唯凄まじい。

一曲目の"Down On The Street"からトップギアで突っ走り、ストゥージズ最高峰の一曲"T.V. Eye"、「I Feel Alright!」の扇情も強烈な"1970"、"L.A. Blues"の混沌。

ロックンロールとは何か、正解は無いが、その最も過激な側面を映し出しているのがこの作品では。正に不死身のロッカーによる聖典。



Janis Joplin「Pearl」(1970)new!

フィメイル・ロック・シンガーの元祖にして代表的な存在、ジャニス・ジョップリンの代表作。そのハスキーな声と正にシンガーと言うべきオリジナル性は、女性ロッカーの中でも抜きん出ていた。それは時代を超える普遍的な物だった。

グルーヴィーなR&Rチューン"Move Over"、感涙のバラード"Cry Baby"、女性の孤独を歌にした"A Woman Left Lonely"といった名曲の数々。

ジャニス節とでも言うべき歌を確立したその存在感は唯一無二。彼女を語らずしてロックは語れないと今尚痛感する。



Gang Of Four「Entertainment!」(1979)new!

数あるポスト・パンクバンドの中でも、圧倒的な影響力とカリスマ性を持つのが、このギャング・オブ・フォー。特にこの1stは、曲作りの質の高さやアンディ・ギルの鉈の様なギターの凶暴さで群を抜いている。

"Ether"のヘビーなベースラインとリズム、"Not Great Men"のメッセージ性、キラーチューン"Damaged Goods"等の名曲の息つく間もない展開。

フリーやマイケル・スタイプ、エッジ等ミュージシャンファンの数多い彼等は、正にバンドマンの鑑と言える。


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