00's Best

The Strokes「Is This It」(2001)

00年代ロックを代表する一枚、ストロークスのデビューアルバム。00年代に先駆けてロックの軽量化というシーンの動きを図った本作は、ロックのみならずHip Hop、R&B等にも波及。音楽界全体への強力な影響を果たした。

楽曲も自身最高レベル。時代への決断を迫る様な表題曲、現代を生きるロックの宣言かの"The Modern Age"、NYシーンの空気を存分に表した"Last Nite"等の名曲群が連なる。

00年代にもロックは息づいた事を証明する、至高の名盤であり、それは確実に時代を刻んだ。


The White Stripes「Elephant」(2003)

00年代最高の表現者、ジャック・ホワイトと女性ドラマーメグ・ホワイトに拠るバンド、ホワイト・ストライプスの代表作。90年代終わりにデビューした彼等は、誰よりルーツ・ミュージックを愛し、誰よりロックの先を見ていた。

ジャックの鬼気迫るギターとボーカル、メグのボトムの座ったドラムはロック界最高峰のケミストリー。"Seven Nation Army"は時代に残るロック・アンセムとなった。

特にライヴに於ける彼等は、ロックその物の化身と化す様なマジックが確実にある。解散後も伝説に。


Arcade Fire「Funeral」(2005)

バイオリンやアコーディオン、打楽器等を含む大所帯で結成されたバンド、アーケイド・ファイアの初作。ロックとオーケストラの融合を果たした音楽の独創性は、数あるロック・バンドの中でも最高レベル。

ボーカルギター、ウィン・バトラー率いる音楽一座の様な編成は、本作でバンドに最高のマジックをもたらす。中でも"Wake Up"、"Rebelion(Lies)"等はライヴでは大合唱の名曲。

やはりライヴが圧巻と呼ばれる人達だが、筆者は未だ未見。是非一度はこの目で見届けたい、ある意味特別なバンド。


The Killers「Hot Fuss」(2003)

現代ロック界最高のソングライティングを誇った、キラーズのデビュー作。そのメロディーセンスと世間に与えたポピュラリティは尋常ではなく、結果的に600万枚を売り上げた大ヒット作に。00年代最も成功したバンドの一つとなった。

中でも朗々と歌い上げるボーカル、ブランドン・フラワーズはカリスマ的魅力。大ヒット曲、"Somebody Told Me"、"Mr.Brightside"等は言わずもがなの名曲。

個人的に特に思い入れのある名作だが、それは唯のヒット作という以上の音楽的本質がある様に感じさせる。


MGMT「Oracular Spectacular」(2008)

00年代後期を代表する、ロックのダンスサイドへの接近最新形を果たした、MGMTの1st。ある意味享楽的なムーヴメントと言えるダンスロック界に於いて、ロック的なリアリズムを最も反映した好例でもある。

ボーカル、アンドリューの美青年振りも話題になったが、その魅力は楽曲。"Time To Pretend"はエレクトロ音の強烈なシングルで、"Kids"は現代のロックを代表する決定的名曲。

後に、ダブステップ等の亜流のシーンの先駆けともなった本作は、本人達の不満をも産み出したが、その価値は不変。


Franz Ferdinand「Franz Ferdinand」(2004)

ポストパンク・リヴァイヴァルという動きに反応し、最も成功を収めたフランツ・フェルディナンドのデビューアルバム。その登場はこれ以上ない程鮮烈な物で、ストロークス以降の流れにある種とどめを刺したのが本作。

バンドの軽妙で絶妙なアンサンブルは00年代屈指で、楽曲のクオリティーも頂点。中でも先行シングル"Take Me Out"は絶大なインパクトを誇る最強のロック・アンセム。

キャリアの成功と共に語られる事の多い彼等だが、根は下積みの長い苦労人。そんな愛すべきキャラもまたリスナーを惹きつけた。


Arctic Monkeys「Whatever People Say I Am,That's What I'm Not」(2005)

現代ギター・ロック界に於いて、今や代表格とされるアークティック・モンキーズ、1stアルバム。彼等もまたストロークス以降の流れにあったが、ハードなギター・サウンド、歌いたくなるメロディーと時代を超えたロックンロールの魅力を体現したバンド。

ギターボーカル、アレックスの冷めた視点のリリックも魅力だが、それに乗せる"I Bet You Look Good On The Dancefloor"、"When The Sun Goes Down"等の強烈な楽曲が最大の長所。

現在に於いても、未だギターロックが有効なのを改めて証明した希代の一作。イギリスではオアシスを超える記録を叩き出した。


The Hives「Your New Favourite Band」(2002)

「ロックを聴いて血がたぎる!」そんな感覚を思い出させ、普遍的とも呼べるロックンロールへの愛を感じさせる、それが間違いなくハイヴスというバンドだ。本作は編集盤だが、彼等の勢いが最も詰まった一枚として挙げたい。

メンバーのコミカルなキャラ以上に、ロック・ナンバーとしての勢いに無条件に盛り上がる。出世曲"Hate Say I Told You So"は勿論、アルバム全編に漲るテンションの高さは正に最強。

恥ずかしながら、最高のライヴバンドと呼ばれる彼等を一度も生で観てないのだが(泣)、そのパワーは推して知るべし。マスト!



Bloc Party「Silent Alarm」(2005)

レディオヘッドに影響を受け、その血を感じさせつつ最もクールな視点でロックを鳴らした、ブロック・パーティーのデビュー作。ポストパンクの方法論を活かしつつ、初期衝動に溢れるテンションで作られた本作は、バンドの決定的なブレイクポイント。

黒人ボーカル、ケリー・オケレケのソウルフルなボーカルも素晴らしいが、"Banquet"、"Helicopter"等のアンセムを産み出す力もバンドを成功に導く要因となった。

ライヴも彼等は勿論素晴らしいのだが、あくまで知的なスタンスを崩さないのも彼等のアイデンティティなのかも知れない。



Coldplay「美しき生命」(2008)

全世界で三千万枚以上のセールスを誇り、00年代で最も成功したグループ、コールドプレイの4th。既に巨大な成功を収めていたバンドに取って、本作で見せたのは壮大なコンセプチュアルと世界観。彼等の創造力の結晶を集めた作品と言える。そこにはロックの未来があった。

アルバム全体で一枚の名画を描いた様な内容は、余りに高潔な雰囲気を持ち、正に彼等の器を証明するかの様。"Viva La Vida"という最大級のヒット曲も産むポピュラリティをも持つ正に完璧な作品。

何より現代に於いて、作品から60年代にロックが有していた様な闘争精神を感じさせるのが、彼等のもたらした奇跡と呼べる。音楽としての極点。

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